ナレッジ層
ノートは作業中の記憶です。日付があり、文脈があり、細部で埋まっています。ナレッジ層は、そこから Graphium が蒸留したもの — 再利用できる要点をひとつだけ述べ、出どころのノートを引用する、短くて編集可能なページの集まりです。このページでは、ナレッジの 3 つの種類、ノートをナレッジに加える方法、そして AI が組み立てたものを見て、保守し、信頼するための手順を説明します。
AI が必要です
ナレッジ層は AI バックエンドがあって初めて動きます。バックエンドはデスクトップアプリに同梱されており、モデルが 1 つ以上登録されている必要があります。AI のセットアップを参照してください。ブラウザ版のプレビューでは、ナレッジ セクションにナレッジの中身ではなくデスクトップ版への案内が表示されます。
ノートとナレッジ
実験ノートは「火曜日に何が起きたか」に答えます。ナレッジページは「いま自分は何を知っているか」に答えます。Graphium は両方を保ち、一方向にリンクします。ナレッジページの末尾には必ず References セクションがあり、その Source: の項目が蒸留元のノートへ戻るリンクになっています。いつでも元の文脈に降りていけます。
ナレッジは 派生物 なので、再生成は当たり前の操作です。ノートが変われば、そこから作られたページも作り直せます。ナレッジがノートに従うのであって、逆ではありません。
3 つの種類
Graphium のナレッジは砂時計の形をたどります。文脈の濃いノートが短い一般的な記述へと絞られ、そこからまた自分の仕事全体へと外向きにつながっていきます — ノート → 知見 → 洞察 です。この背後にある推論のモデルは Inference types in Graphium にまとめてあります。
| 種類 | 何であるか |
|---|---|
| 要約 | 1 つのノートに対する AI の短い要約 |
| 知見 | ノートから抽出された、根拠のある主張 |
| 洞察 | 2 つ以上の知見にまたがって繰り返し現れるパターン |
どの種類にも意味づけの型のバッジが付きます。知見には役割(発見・観察、決定・選択、予期せぬ事象、残された問い、設定・条件、解釈、課題・問題)があり、洞察にはパターンの型(因果、機構、条件依存 など)があります。
ノートをナレッジに追加する
主な入口は、ノートエディタのヘッダーにある ナレッジに追加 のチップです(サイドピークとノートのヘッダーメニューにも出ます)。押すと AI がノートを読み、要約を書き、そこから知見を抽出します。
進捗は画面の隅のトーストに出ます — ナレッジ生成中 (1/3) — これは 最小化 で畳み、詳細を表示 で開き直せます。実行中はヘッダーに 停止 ボタン(■)も出ます。押すと処理中の AI 呼び出しを中断し、完了済みの分は残したまま、残りを 中断しました に畳みます — 重いモデルが思ったより遅かったときに使えます。終わると 完了: 2 件生成 と表示され、チップは ナレッジ化済み に変わります。この状態で押すと、生成された項目に飛びます。更新したノートでもう一度実行すると、既存の項目が重複せずに再生成されます。
ナレッジへの他の経路もあります。
| 経路 | 方法 |
|---|---|
| ノート一覧 | 複数のノートを選んで 3 件をナレッジ化。ナレッジ 列で、すでに追加済みのノートがわかります |
| 素材 | ギャラリーで URL / PDF を選んで 3 件をナレッジ化。メモは直接取り込むこともできます |
| AI チャット | 回答に対する ナレッジにする(後述) |
Composer(⌘K、Windows/Linux は Ctrl+K) | このノートをナレッジに追加 の候補カード |
TIP
取り込みはつねに自分で起動するものです。Graphium が裏でノートをナレッジに変えることはありません。ナレッジ化時に自動適用する を有効にしたスキルを使えば、用語や書き方についての自分の指示を毎回の実行に差し込めます。
同梱の 2 つのスキルが、生成される文章の文体(日本語 / 英語)を定めています。アプリの更新で同梱の内容が新しくなったとき、編集していないスキルは自動で新しい内容になります。編集済みのスキルには一覧に 新しい内容あり バッジが表示され、デフォルトに戻す を押すと新しい内容に置き換わります。 v0.30.0 (2026-08-09) で追加
プロンプトは試行錯誤するものなので、スキルでもノートと同じ手動の版が使えます。スキルの編集中に ⌘⇧S か 履歴 タブの 版を残す で今のプロンプトを版として残し、残した版の この版に戻す でいつでもその内容に切り替えられます。戻したこと自体も編集履歴に残ります。 v0.30.0 (2026-08-09) で追加
ナレッジを見る
サイドバーには ナレッジ セクション(既定では畳まれています)があり、要約・知見・洞察 が件数付きで並びます。種類を押すと一覧ビューが開き、次のことができます。
- 列: タイトル、種別、生成元(生成元ノートの数)、参照先 / 被参照、モデル、作成日、更新日、世界(最新の世界照合の判定)
- 検索、列ごとの種別フィルタ、並べ替え、ドラッグでの範囲選択
- 選択した行への一括操作: 3 件を再生成、3 件ゴミ箱へ、世界照合 (3)
知見には根拠のステータスも付きます。?candidate(依拠しているノートが 1 件のみ)か ✓verified(2 件以上のノートで依拠)です。2 件目の独立したノートに裏づけられた知見は自動で昇格し、そのページには 確証済み のバッジが出ます。

ナレッジページは編集できるノート
ナレッジページは他のノートと同じように開き、同じように編集できます。特別なのは上部のバナーです。
- 再生成 — 現在の生成元から、設定したモデルでページを作り直す
- 派生元 — ページの来歴。生成元の ノート、(洞察の場合は)知見、関連する洞察
- 世界照合 — 外部の知識に照らして記述の位置づけを調べる(世界照合を参照)
- 認識的ステータス — 記述がどれだけ確かな根拠に支えられているか。推測から定説まで
本文の末尾には、生成元へ戻る References セクションがあります。再生成 は生成元から本文を書き直す操作だという点に注意してください。長く残したい修正は、できるだけ生成元のノート側に入れ、ナレッジページへの手直しは暫定のものとして扱うのが安全です。

ログと点検
サイドバーの ナレッジ セクションの下にある 2 つのボタンから、保守用のビューを開けます。
- ログ — ナレッジに対するすべての操作(ingest、merge、cross-update、再生成、削除)の活動ログです。日ごとにまとまり、各項目から該当ページへ飛べます。
- 点検 — ナレッジのヘルスチェック です。チェック実行 を押し、クイック(ローカルのみ)(LLM を呼ばずに古い項目と孤立した項目を洗い出す)か、フル(AI 解析)(さらに 矛盾・穴・冗長 も見つける)を選びます。見つかった各項目には、ワンクリックの手当てが付きます。再生成、アーカイブ、開く です。
知見から洞察を見つける
洞察は、2 つ以上の知見にまたがって繰り返し現れるパターンを探すことで見つかります。これは取り込みのたびに少しずつ進みますが、コーパス全体に対しては 設定 → ナレッジ管理 → 知見をまたぐ洞察を発見 → 洞察を発見 から実行できます。既存の洞察はモデルに渡されるので重複は作られません。新しい知見が手持ちの洞察を裏づけるときは、洞察が複製されるのではなく補強されます。
スキャンは「どこまで見たか」を必ず報告します v0.45.0 (2026-08-25) で追加。知見は似たもの同士のクラスタに分けて順にスキャンされ、結果には実測したカバレッジ — 取り込み時は 視野 n/m 件、コーパス全体の実行では 視野に入れた知見: n/m 件 — が表示されます。少なくとも一度は視野に入った知見の数です。おかげで「新しい洞察なし」が曖昧になりません。全部見た上で無かったのか、まだコーパスの残りに届いていないだけなのかが分かります。コーパス全体の実行は、すべての知見が一度は視野に入るまで続き、それに必要な LLM 呼び出し回数を実行前に教えてくれます。取り込み時のスキャンは 設定 → AI の 取り込み時のスキャン回数 で上限を決められるので、1 回の取り込みにかけるコストは自分で決められます。洞察が少ないと感じたら、素材の問題かモデルの問題かの切り分け方をよくある質問にまとめてあります。
一括再生成と埋め込みの作り直し
設定 → ナレッジ管理 タブには、コーパス全体に対する保守機能があります。
| ツール | 使う場面 |
|---|---|
| ナレッジの一括再生成 | モデルを変えたあと。種類(対象の種類)を指定してページを作り直します。モデル指定(任意)、進捗表示、中断、失敗したナレッジだけ再試行 が使えます |
| 全ナレッジの埋め込みを作り直す | AI チャットの引用検索が自分のナレッジを見つけられなくなったとき。全ページの埋め込みを作り直します |
どちらも先に件数の確認が出ます。再生成は LLM を呼ぶのでトークンを消費します。
チャットの発見をナレッジとして保存する v0.16.8 (2026-07-02) で追加
AI チャットの回答に残しておきたいものがあれば、回答の下の ナレッジにする を押します。返答をまるごと保存するのではなく、Graphium は ナレッジ候補(選んで保存) というピッカーに個別の候補を並べます。それぞれに 知見 か 洞察 のバッジ、タイトル、プレビューが付きます。欲しいものにチェックを入れ(または すべて選択)、選択した 2 件を保存 を押します。ナレッジに入るのは、選んだものだけです。
全体グラフのなかのナレッジ
サイドバーから 全体グラフ を開くと、ワークスペース全体が 3 つの層として見えます。下に 原料、中央に ノート、上に 知見・洞察 です。ナレッジは結晶化した先端にあります。ノートのかたまりがいくつかの知見と洞察へと絞り込まれていく様子が見て取れますし、まだ蒸留されていないノートも見つけられます。
ナレッジの来歴 v0.17.3 (2026-07-13) で追加
ナレッジも、Graphium の他のものと同じ来歴の基準で扱われます。
- 各ページの 派生元 パネルと References セクションが、生成元を引用します。洞察はさらに、どの知見から引き上げられたかを記録します。
- 成長の出来事(ingest、merge、補強、再生成)はページの履歴に一級の activity として記録されます。そのため履歴パネルを見れば、どの 生成元がどの版に流れ込んだかがわかります。
- 削除したページはゴミ箱に入り、統合されたページは破棄ではなくアーカイブされます。既存の引用はそのまま解決し続けます。
ナレッジをノートに引用し直すこともできます。エディタで / と入力し、既存の知見 グループの 知見 または 洞察 を選ぶと、既存ページへの参照を挿入できます(複数選択に対応)。
