世界照合
ノートからは知見や洞察が生まれます。では、それは世界がすでに知っていることとどう関係しているのでしょうか。世界照合は、ナレッジの一片を外部の情報源(Wikipedia、OpenAlex、任意で Web 検索)と突き合わせ、判定(verdict)を刻みます。「これは世界ではすでに知られているのか、支持されているのか、それとも争われているのか」に答えるので、どこを深掘りするかを決める材料になります。
verdict は真偽を告げる神託ではなく、位置づけの手がかりとして扱ってください。示されるのは、その主張が知識ベースに対してどこに位置するかです。主張が成り立つかどうかの最終判断は、常に自分の手元にあります。
必要なもの
世界照合は Graphium の AI 機能の一部なので、デスクトップアプリと、登録済みモデルが 1 件以上必要です(AI のセットアップを参照)。Wikipedia と OpenAlex からの根拠は API キーなしでそのまま使えます。Web 検索の MCP サーバー(たとえば Tavily)を追加すると、根拠の範囲が一般の Web まで広がります。
主張を世界と突き合わせる v0.8.0 (2026-05-21) で追加
ナレッジの項目 — サイドバーの ナレッジ の下にある 知見 または 洞察 — を開き、本文の上にあるバナーを見ます。再生成 の隣に 世界照合 ボタンがあります。

クリックすると照合が走り、結果がその項目に保存されます。保存されるのは verdict・理由・出典です。実行中は進捗トーストが状況を伝えます。要約 は照合できません。要約は世界について何かを主張するものではなく、自分のノート 1 件を説明するものだからです。
複数の項目をまとめて照合することもできます。知見・洞察の一覧には 世界 列があり、各行の最新の verdict を表示します(verdict の強さでソートできます)。チェックボックスで行を選び、件数付きの 世界照合 (n) をクリックします。もう一度実行すると前の verdict を上書きするので、このボタンは「付け直し」も兼ねます。
verdict を読む
verdict はバナーのチップとして表示され、知識ベース側の立場という形で言い表されます(チップにカーソルを合わせると KB から見た位置づけ と理由が見られます)。
| チップ | 意味 |
|---|---|
| 確立した知識と整合 | 教科書レベルに確立した知識と噛み合っている。 |
| 支持された知識と整合 | 公表された裏付けはあるが、そこまで定まっていない知識と噛み合っている。 |
| KB は裏付けが弱いと見る | 知識ベースが見つけた裏付けは、弱いものだけだった。 |
| KB に反例がある | 知識ベースが、この主張に反する証拠を持っている。 |
| 照合済 · KB マッチなし | 照合は走ったが、一致するものがなかった。支持も反証もされていない。 |
全体像を見るには、項目の一番下までスクロールします。世界照合 詳細 のセクションに、理由、参考文献(それぞれ開けるリンク)、マッチした語彙、そして 照合元 が並びます。照合元を見れば、その答えがローカルの知識ベースから来たのか、Web の根拠に裏打ちされた判定から来たのか、モデルが自分の知識で答えたのかが分かります。
2 つの洞察が同じ世界の事実に接続したとき、Graphium はそれらを結びます。同じ世界事実に接続した洞察 (n) のセクションに、世界の同じ一点に触れた他の洞察が並びます。これは、孤立した AI の回答が代わりに保持しておけない類のつながりです。
仕組み: 育つ知識ベース
世界照合は 2 層で作られています。この構造が分かると、使うほど速くなる理由も見えてきます。
- まずローカルの知識ベースが答える。 照合はすべて、ローカル KB(小さな手キュレーションの seed と、これまでの照合でキャッシュされたものすべて)との突き合わせから始まります。ヒットすれば即答、コストゼロ、モデル呼び出しなしです。
- 外れたものだけがモデルに回る。 KB を外れると、世界照合モデルが根拠を集めます(Wikipedia と OpenAlex は常に、加えて Web 検索の MCP ツールがつながっていればそれも)。そして、その根拠に照らして主張を判定します。根拠が何も出てこなければ、モデルは自分の知識にフォールバックします。
モデルの判定は、そのつどローカル KB に沈殿します。似た主張の次回の照合は KB ヒットになるので、KB は自分の分野に合わせて育ち、使うほど照合は速く・安くなります。
ノートに保存された verdict と KB のキャッシュは別物です。ノートから verdict を消しても KB は変わりませんし、KB のエントリを削除しても、すでにノートに刻まれた verdict は消えません。
自動照合 v0.13.3 (2026-06-02) で追加
既定では、照合は頼んだときだけ走ります。新しいナレッジができた時点で照合させたい場合は、設定 → AI を開き、世界照合 セクションの 自動で世界照合する をオンにします(既定はオフ)。
オンにすると、新しく作られた知見・洞察がバックグラウンドで 1 件ずつ照合されます。トーストは出ず、静かに進みます。対象は一度も照合されたことのない項目だけで、しかも先に KB を見るので、モデルが呼ばれるのはまだ知られていない主張に限られます。
世界照合に使うモデル
同じ 設定 → AI の 世界照合 セクションで、専用の 世界モデル照合用モデル を選べます。空のまま(チャット・洞察モデルと同じ)にしておくと、照合はチャット・洞察モデルを使い、それも空ならデフォルトモデルにフォールバックします。ふつうは、ここを別に設定する必要はありません。
モデルの登録や他の割り当てについては AI のセットアップを参照してください。
再照合と verdict の削除 v0.13.5 (2026-06-03) で追加
- 再照合: もう一度 世界照合 を押します。新しい結果が古いものを置き換えます。
- 削除: 項目下部の 世界照合 詳細 セクションで 照合結果を消す を押すと、その項目に保存された verdict と出典が消えます。間違った判定や壊れたリンクが焼き付いてしまったときに使います。一覧では、行を選んで件数付きの 照合を消す (n) を押せば、まとめて剥がせます。
TIP
手で消した項目は、自動照合が意図的に飛ばします。消す操作は「これを自動で付け直さないでほしい」という合図になります。新しい verdict が欲しくなったら、自分で 世界照合 を押してください。
AI の回答に渡す範囲 v0.16.8 (2026-07-02) で追加
AI に質問するときにも、これと地続きの仕組みがあります。AI チャットパネルと ⌘K Composer にある 渡す範囲 チップで、回答が何を根拠にするかを選びます — 外部参照(Web 検索を必須にする)、内部参照(引用したもの+蓄積した知識の横断検索)、ノート内参照(このノートで引用したものだけ。既定)。詳しい内訳と、外部参照 が Web に届くために何が必要かはチャットと Ask (Cmd+K)を参照してください。
照合データを管理する
設定 → 照合データ は、世界照合が突き合わせる知識ベースの中身を見たり、間引いたりする場所です。最初は空で、照合を実行するほど育ちます。

- ヘッダーにエントリ件数が出ます。verdict のフィルタチップや KB を検索... の欄で一覧を絞れます。
- 各エントリにはバッジが付きます。seed はアプリに同梱された手キュレーションのエントリ(UI からは削除できません)、model はモデル判定から沈殿したエントリです。バッジにカーソルを合わせると、どのモデルが作ったものかが分かります。
- 個別のキャッシュエントリはゴミ箱ボタンで削除できます。件数付きの 沈殿エントリを一括削除 (n) を押せば、モデル由来のキャッシュエントリをまとめて消せます。どちらの場合も seed エントリは残ります。
エントリを削除しても、影響するのは以後の照合だけです。もう信用できない判定を追い出し、次の 世界照合 で新しい根拠から導き直させるための操作です。
