AI のセットアップ
Graphium の AI は任意の機能です。AI がなくても、アプリはノートエディタとして完結しています。モデルを 1 つも登録していないあいだは、AI 系の操作(チャット、Composer、ナレッジ生成、素材に対する AI 操作)はすべて隠れているので、設定を促されることもありません。このページでは、何もない状態から動くモデルまでを案内します。AI がどこで動くのか、モデルの追加方法、API キーの保存場所、モデルの割り当てがそれぞれ何に効くのか、そして AI にかかる費用の追い方です。
AI が動く場所
AI 機能には、モデルのプロバイダーと通信する小さなローカルバックエンドが必要です。このバックエンドはデスクトップアプリに同梱されており、自動で起動します。別途インストールするものはありません。ブラウザ版はバックエンドを持たないエディタのプレビューなので、AI 系の操作は隠れたままで、AI タブには代わりに デスクトップ版を入手 ボタン付きの案内が出ます。
あいだに Graphium のクラウドサービスが入ることはありません。バックエンドは自分のマシンで動き、設定したプロバイダーへ直接リクエストを送ります。
AI タブ
設定を開き、AI タブを選びます。このページで扱う内容は、最後に触れる使用量タブ以外すべてここにあります。

接続の確認
デスクトップアプリを起動した直後は、バックエンドが立ち上がるまで数秒かかります。その間、サイドバーの ナレッジ には バックエンドを起動しています… と表示され、設定 の隣の点は灰色のままです(AI が使える状態になると緑に変わります)。バックエンドが起動しなかった場合は、同じ場所に バックエンドを再起動 ボタンが出ます。
AI タブは、開くたびにバックエンドを確認します。コンポーネントごとの 接続状態 パネルは ナレッジ管理 タブにあります。バックエンドが落ちているとき、デスクトップアプリではそこに バックエンドを再起動 ボタンも出て、ログを表示 で何が起きたかを確認できます。
アプリの利用中にバックエンドが自然に停止した場合は、デスクトップアプリのウィンドウ上部にバナー — AI バックエンドが停止しました。AI 機能を使うには再起動が必要です。 — が出て、同じ バックエンドを再起動 と ログを表示 ボタンから設定を開かずに復帰できます。
モデルを追加する
どのプロバイダーを選ぶか
- GitHub Copilot をすでに契約している なら GitHub Copilot (Subscription · Copilot CLI) を選んでください。API キーは不要で、利用量は今のプランの枠に計上され、MCP ツール(web 検索など)もネイティブに動きます。Graphium の AI を一通り使う一番手軽な道です。
- まず無料で試したい なら、無料枠のある OpenAI 互換 エンドポイントを登録します — 日本ならさくらの AI Engine、海外なら Groq など。
- API キーがある なら、キー方式のどのプロバイダーでも動きます。下のモデル割り当てで組み合わせられます。
登録済みモデル の下にある モデルを追加(または 最初のモデルを追加)を押します。プロバイダーを選んでください。
| プロバイダー | 必要なもの |
|---|---|
| Anthropic | Anthropic の API キー |
| OpenAI | OpenAI の API キー |
| Google Gemini | Google AI の API キー |
| OpenAI Compatible (Groq, Ollama, etc.) | API Base URL(Ollama なら http://localhost:11434 など)と、エンドポイントが求める場合はキー |
| GitHub Copilot (Subscription · Copilot CLI) v0.33.0 (2026-08-13) で追加 | GitHub Copilot のプランと、このマシンでインストール・サインイン済みの copilot CLI — API キーは不要 |
API キーを使うプロバイダーでは、API キー を入力し、利用可能なモデルを取得 を押して一覧から 1 つ選びます(または手動でモデル ID を入力 も使えます)。必要なら 表示名 を設定し、追加 を押します。最初に登録したモデルがデフォルトになり、アプリ全体に AI 機能が現れます。
GitHub Copilot (Subscription · Copilot CLI) はキー入力そのものがありません。このマシンの GitHub Copilot CLI のログインを使うので、先に npm install -g @github/copilot で CLI をインストールし、ターミナルで copilot を一度実行してサインインしてください。プロンプトは Copilot プランの利用枠を消費します。あらかじめ選ばれている default モデルは CLI 側のその時点の既定モデルに従います — 特定のモデルを使う場合は 利用可能なモデルを取得 を押して選んでください。あとから GitHub アカウントを切り替えるには、ターミナルで copilot を実行して /login し、Graphium を再起動します。

Claude サブスクリプションのプロバイダーは廃止されました
以前のバージョンには、Claude Pro/Max プランで AI を動かす Claude (Subscription · Claude Code) プロバイダーがありました。Anthropic の規約がサードパーティアプリからのサブスクリプション認証の利用を認めていないため、廃止しています。この経路で登録したモデルは、更新後の初回起動時に一覧から取り除かれます。別のプロバイダーを登録し直してください。Anthropic の API キーはこれまで通り使え、「API キーなしで使う」役割は上の GitHub Copilot プロバイダーが引き継いでいます。
API キーの保存場所
キーは、登録したプロバイダーに届く以外の目的でマシンの外に出ることはありません。macOS のデスクトップアプリでは macOS キーチェーンに保存され、Windows では Graphium のデータフォルダ内のローカルファイルに保存されます。権限を絞り、上限額を設定したキーを使うのが安全です。詳細は SECURITY.md にあります。
モデルごとの単価
登録済みモデルの 編集 を押すと 単価 を設定できます。入力と出力の単価を 1M トークンあたりの USD で指定します(どちらも任意)。よく知られたモデルなら Graphium が参考価格を表示し、ワンクリックで適用できます(… / … を使う)。ここで設定した単価が使用量タブのコスト見積もりに使われます。単価を設定していないモデルは、トークン数だけが表示されます。
モデルの割り当て
モデルの割り当て では、登録したどのモデルがどの仕事を担うかを決めます。最初のうち重要なのはデフォルトだけで、残りは任意の調整です。
| 割り当て | 使われる場面 |
|---|---|
| デフォルトモデル | 全体のフォールバック。バックグラウンド処理(ingest、lint、rewrite、cross-update)では直接使われます |
| チャット・洞察モデル | AI チャットと洞察生成。未指定ならデフォルトモデルにフォールバックします |
| 埋め込みモデル | ノートとナレッジに対する意味検索。OpenAI または OpenAI 互換のプロバイダーが必要です。未設定ならテキスト一致で代替されます。保存前に 埋め込みテスト を使えば、そのモデルが本当に埋め込みに対応しているかを確認できます |
| 世界モデル照合用モデル | 世界照合で、主張を世界の知識に照らして判定します。チャット・洞察モデル、さらにデフォルトモデルへとフォールバックするので、ふつうは設定しなくてかまいません |
世界照合 セクションには 自動で世界照合する のトグル(既定は OFF)もあり、新しく作られた洞察と知見をバックグラウンドで世界照合します。照合の仕組みとローカルの知識ベースについては世界照合を参照してください。
どの仕事に、どれくらいのモデルが要るか
Graphium はどのモデルでも動きますが、仕事ごとの要求水準は同じではありません。目安は次のとおりです。
| 仕事 | 何を要求するか | 向いているモデル |
|---|---|---|
| 要約・知見の抽出・チャット | 丁寧な読み取りと忠実な抽出 | 中型以上の多くのモデルで実用になります(良質なローカルモデルを含む) |
| 洞察の生成(知見をまたぐ抽象化) | パイプラインで最も難しいステップ。分野の発見を、空疎にせず持ち運べる規則へ持ち上げる | 最上位級のモデル — 例えば Claude Opus / Claude Sonnet、あるいは各社のフラッグシップ。チャット・洞察モデル に割り当ててください。「推論対応」や大きさだけでは足りないことがあります。実測では、120B 級のオープンな推論モデルが知見の言い換えに留まる一方、最上位級モデルは知見をまたぐ本物のパターンを見つけました |
| 手順の構造化(PROV 抽出) | 長い文書に対する厳密な構造化出力 | ここも最上位級モデルがいちばん安定します |
| 埋め込み(Embedding) | チャットではなく embeddings エンドポイント | embedding 対応モデル — 保存前に 接続テスト で確認してください |
洞察が少ない・知見の言い換えに見えるときは、チャット・洞察モデル だけを強いモデルに切り替えて発見をもう一度実行してみてください。この「変数 1 つの実験」の手順はよくある質問にまとめてあります。
洞察テスト v0.45.0 (2026-08-25) で追加
おすすめを信じる代わりに、選んだモデルを実際に測れます。チャット・洞察モデルの選択欄の下にある 洞察テスト を押すと、同梱のパン作りの知見 3 件を選択中のモデルで洞察化し、結果をその場に表示します。

実行前に テストの中身 を開けば、知見 3 件と期待される答えが読めます。知見 1・2(こね不足で潰れる/発酵しすぎで潰れる)は「適正な範囲がある」という 1 つの規則に畳まれるのが期待で、3 件目(今日の粉の吸水)は畳まれないノイズです。力のあるモデルはこの折り畳みを返し、力不足のモデルは知見の言い換えを並べるか、何も返しません。
各候補には引用した知見の番号が出て、元の知見とほとんど変わらない言い回しには 言い換えの可能性 バッジが付きます。折り畳みと言い換えの件数をまとめた 1 行のサマリも出るので、候補が増えても読み解けます。テストは本番と同じ多段パイプラインを通るため数十秒〜数分かかります。この待ち時間そのものが、そのモデルでの洞察発見の速さの目安です。
テストの内容はどこにも書き込まれません。テスト用の知見はアプリの中にあり、結果もアプリを閉じるまで(または 結果を消す を押すまで)の一時的なものです。
MCP サーバー v0.13.6 (2026-06-04) で追加
MCP(Model Context Protocol)は、AI チャットが外部のツール — Web 検索、ファイルアクセス、自分の API — を呼べるようにするための公開標準です。Graphium は MCP サーバーに直接つなぎます。MCP サーバー の下で MCP サーバーを追加 を押し、3 つのモードから選びます。
| モード | 仕組み |
|---|---|
| JSON を貼る | サーバーの README にある mcpServers の JSON をそのまま貼り、取り込む を押します。ローカルとリモートを含む複数のサーバーを、一度の貼り付けで取り込めます |
| 手動入力 | フォームを自分で埋めます。ローカル サーバーには コマンド、引数(1 行に 1 つ)、環境変数(KEY=value、1 行に 1 つ) を指定し、リモート サーバーには エンドポイント URL、トランスポート(SSE か Streamable HTTP)、API キー(任意) を指定します |
| レジストリから | Crucible Registry の レジストリ URL を入力し、サーバーを取得 を押して一覧から候補を追加します |
ローカル サーバーは、Claude Desktop と同じように Graphium が stdio 経由で起動・管理します。プロセスを自分で起動したり止めたりする必要はありません。ブラウザはローカルプロセスを起動できないため、これにはデスクトップアプリが必要です。リモート は、すでに動いているサーバーに URL で接続します。
一覧の各サーバーは、有効・無効の切り替え、編集、削除ができます。アプリ自身が挙げている実用的なヒントをひとつ。検索系のサーバー(例: Tavily)を追加すると、どのモデルでも 外部参照 が生きた Web を検索できるようになります。
ここでの Graphium は、外のツールを呼びに行くクライアントの側です。Graphium は逆に MCP サーバーとしても動き、Graphium の外にいるアシスタント — Claude Desktop、Claude Code、Cursor など — が、あなたのノートを外から読めるようにもできます(AI アシスタントから使う)。両者は独立した設定です。
使用量タブ v0.12.0 (2026-05-28) で追加
設定の 使用量 タブには AI 使用量 が表示されます。AI 機能ごとのトークン消費量が並ぶので、予算が実際どこへ流れているかがわかります。
- 期間は 日 / 月 / 年 で切り替えます。タブには 合計トークン、想定コスト、時系列のトークン のグラフ、機能別の内訳 が表示されます。
- コストは USD か JPY で表示されます。通貨を切り替え、換算レート(1 USD = ¥)はその場で編集できます。
- サブスクリプションのモデルには Subscription(従量課金なし) と付きます。トークンは数えられますが、コストは見積もられません。
- あとからモデルの単価を変えた場合は、コストを再計算 で直近 90 日分の記録を現在の単価で計算し直せます。それより古い月次集計は影響を受けません。
使用量の記録はバックエンドで動くので、デスクトップアプリの機能です。
次のステップ
モデルを登録すると、アプリ全体で AI の面が点灯します。AI チャットと Composer、ナレッジ層、世界照合です。
